イソフラボンと子宮筋腫の関係
一般的に、子宮筋腫の患者はイソフラボンの摂取を避けるべきとされています。しかし、それと相反する研究結果も報告されており、イソフラボンと子宮筋腫の関係は明確には解明されていません。
子宮筋腫の患者は、イソフラボン配合のサプリメントの摂取を自己判断せず、摂取したい場合は医師に相談して、その指示に従うことが大切です。
子宮筋腫の患者はイソフラボンの摂取を控えるべきとされている
現在の日本では、子宮筋腫の患者はイソフラボンを摂取すべきでないとされています。子宮筋腫は女性ホルモンのエストロゲンの働きによって症状が進行し、イソフラボンにはエストロゲンに似た生理作用があるためです。
子宮筋腫はエストロゲンの働きで進行する
子宮筋腫は、子宮にできるこぶのような良性腫瘍です。
子宮筋腫の原因は明確には解明されていませんが、女性ホルモンのエストロゲンの働きによって症状が進行することがわかっています。加齢によって女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が低下すると、子宮筋腫は縮小します。
イソフラボンにはエストロゲン様作用がある
イソフラボンの分子構造はエストロゲンとよく似ており、体内でエストロゲンと似た働きをします。その作用は「エストロゲン様作用」と呼ばれます。
子宮筋腫の患者はイソフラボンの摂取を控えるべきとされているのは、このエストロゲン様作用によって子宮筋腫が肥大する可能性があるためです。
イソフラボンと子宮筋腫の関連性を否定する研究報告がある
子宮筋腫の患者はイソフラボンを摂取すべきでないという意見がある一方で、イソフラボンと子宮筋腫との関連性を否定する研究報告もあります。
日本人女性を対象とした研究で、イソフラボンを豊富に含む大豆の摂取量が多い人は子宮筋腫が少なく、子宮摘出の必要性が少ない傾向があることが報告されています。
また、日本人女性を対象とした別の研究では、1年以上イソフラボンのサプリメントを摂取した際の安全性の検証が行われ、子宮筋腫の増大や不正出血などの子宮への悪影響が認められなかったことが報告されています。
さらに、細胞実験や動物実験において、大豆イソフラボンに酵素の働きを抑制して子宮筋腫の細胞の増殖を抑制する作用があることが報告されています。
イソフラボンには抗エストロゲン作用もある
イソフラボンにはエストロゲン様作用がありますが、その作用はエストロゲンに比べると非常に弱いものです。そのため、イソフラボンがエストロゲンの働きを弱める場合があります。そうした作用は「抗エストロゲン作用」と呼ばれます。
エストロゲンは卵巣から分泌された後、細胞にあるレセプター(受け皿)と結合することで効果を発揮します。
体内のエストロゲンが不足していると、開いているレセプターにイソフラボンが結合してエストロゲン作用を強めます。逆にエストロゲンが体内で過剰な場合は、イソフラボンが先にレセプターと結合することでエストロゲンとレセプターの結合を妨げます。その結果、エストロゲン作用が相対的に弱まります。
イソフラボンの子宮筋腫に対する影響は明らかになっていない
以上のように、イソフラボンにはエストロゲンの作用を強める働きと弱める働きの両方があります。また、イソフラボンは子宮筋腫を悪化させる可能性がある一方で、それを否定する研究報告も多数あります。
イソフラボンの子宮筋腫に対する影響は明らかになっておらず、未だ研究段階です。
医療の分野では、安全性の確認が不十分なものは使用しないという原則があります。
イソフラボンと子宮筋腫との関連性については諸説あり、安全性が十分に確認されていません。そのため、現在の日本では、子宮筋腫の患者はイソフラボンの摂取を控えるべきとされています。(2018年現在)
子宮筋腫の患者はイソフラボンの摂取について医師に相談
子宮筋腫の患者はイソフラボンの摂取を控えるべきとされていますが、一般的に通常の食事からの摂取は問題とされていません。控えるべきとされているのは、イソフラボンを配合したサプリメントなどの濃縮物の場合です。
イソフラボンに対する感受性については個人差があり、サプリメントの摂取についても、医師の判断によって摂取が許可されるケースがあります。
ただし、現状では子宮筋腫に対するイソフラボンの効果は明らかになっておらず、素人が自己判断するのは危険です。子宮筋腫の患者は、基本的にはイソフラボン配合のサプリメントの摂取を避け、摂取したい場合は必ず医師に相談して、その指示に従うことが大切です。