ホルモン補充療法中にイソフラボンを摂取しても大丈夫?
イソフラボンには女性ホルモンに似た生理作用があるため、ホルモン補充療法中にイソフラボンを摂取することに不安を感じる人がいるかもしれません。しかし、心配する必要はありません。
ホルモン補充療法中に摂取しても、イソフラボンは治療に悪影響を及ぼしません。また、ホルモン補充療法中であっても、抗酸化作用などのイソフラボンの健康効果は十分に発揮されます。
ホルモン補充療法中にイソフラボンを摂取しても問題ない
イソフラボンは、ホルモン補充療法中に摂取しても問題ありません。
・ホルモン補充療法はエストロゲンなどを補う治療法
ホルモン補充療法は、女性ホルモンを投与する治療法であり、女性ホルモンが急激に減少することで起こる更年期障害の症状改善のために主に行われます。また、女性ホルモンの低下による骨粗しょう症の予防にも役立ちます。
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあり、エストロゲンには「エストロン・エストラジオール・エストリオール」の3種類があります。ホルモン補充療法は、これらのホルモンを身体に補うことで、女性ホルモンの不足によって起こる更年期障害を改善します。
・イソフラボンのエストロゲン様作用は弱め
イソフラボンの分子構造はエストロゲンとよく似ており、体内でエストロゲンと似た生理作用を発揮します。その作用は「エストロゲン様作用」と呼ばれます。
イソフラボンにはエストロゲン様作用があるため、ホルモン補充療法中の摂取に不安を感じる人がいるかもしれませんが、心配する必要はありません。
イソフラボンのエストロゲン様作用は、本物のエストロゲンの1,000分の1以下の非常に弱いものです。そのため、ホルモン補充療法の効果を過度に強めてしまうようなことはありません。
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・併用した実験も行われている
イソフラボンの代謝物であり、通常のイソフラボンよりも作用の強い「エクオール」という物質があります。
ホルモン剤とエクオールを12ヶ月間という長期にわたって併用する実験が行われており、実験中に健康状態に問題が発生することなく、更年期障害を改善する高い効果が得られたことが報告されています。
ホルモン補充療法中にイソフラボンを摂取しても、全く問題ありません。
ホルモン補充療法中のイソフラボンの効果
ホルモン補充療法中にイソフラボンを摂取しても、女性ホルモンの働きを補助する効果はあまり期待できません。しかし、それ以外の効果は通常通り得ることができます。
女性ホルモンを補助する効果は期待できない
イソフラボンにはエストロゲン様作用がありますが、その強さはエストロゲンに比べて非常に弱いものです。
ホルモン補充療法中は、体内にエストロゲンが十分にある状態です。その状態でイソフラボンを摂取しても、ホルモン剤の作用に追加してエストロゲン様作用が発揮されることはまずありません。
抗酸化作用などの健康効果は通常通り
イソフラボンには、エストロゲン様作用以外にも身体に役立つ数多くの効果があります。
例えば、イソフラボンには強い抗酸化作用があり、肌の老化の抑制や生活習慣病の予防に役立ちます。また、ストレスを軽減する効果などもあります。こうした効果は、体内のエストロゲンの濃度に関わらず発揮されます。
ホルモン補充療法中であっても、イソフラボンは健康と美容にとても効果的です。
イソフラボンはホルモン補充療法後の健康維持にも役立つ
ホルモン補充療法を行っていた人を対象として、イソフラボンに切り替えた場合の更年期障害の症状の変化を調べた試験が行われ、イソフラボンに切り替えても症状に大きな変化がなかったことが報告されています。
また、ホルモン補充療法の副作用が強い場合にホルモンの投与量を減らし、代わりにエクオールを投与する治療を行っている医療機関もあります。
イソフラボンのエストロゲン様作用はエストロゲンに比べると弱いですが、体内のエストロゲンが少ない状態であれば、更年期障害に対する高い改善効果を発揮します。
イソフラボンはホルモン補充療法中だけでなく、ホルモン補充療法後の健康維持にも役立ちます。
ホルモン補充療法中のイソフラボン摂取は医師に相談してから
以上のように、ホルモン補充療法中にイソフラボンを摂取しても問題ありません。
ただし、病気の治療中にサプリメントなどを利用する場合は、医師に相談して許可を得てから摂取するのが基本です。
医師によって治療方針が異なる場合もあるため、ホルモン補充療法中にイソフラボンサプリを利用したい場合は、事前にかかりつけの医師に相談するようにしてください。