カンゾウ(甘草)はイソフラボンを含む薬用植物
イソフラボンを含む植物のひとつに「カンゾウ(甘草)」があります。
カンゾウは、古くから世界中で使用されている薬用植物です。その名の通り強い甘味があり、甘味料としても広く利用されています。
カンゾウはサプリメントや薬用茶での摂取が一般的です。また、漢方薬の主要な材料のひとつでもあります。
カンゾウにはイソフラボンが含まれている
カンゾウは、マメ科に属する薬用植物です。イソフラボンはマメ科の植物に含まれるポリフェノールであり、カンゾウにもイソフラボンが含まれています。
カンゾウに含まれるイソフラボン類には、フォルモノネチン・リクイリチン・リコリコンなどがあります。
これらの成分には、炎症を抑制する作用や抗酸化作用があります。イソフラボンは、甘味のもととなるグリチルリチンとともに、カンゾウの健康効果の中心となる成分です。
カンゾウの主な効果
カンゾウは古くから薬用植物として利用されており、多くの健康効果があります。
カンゾウの主な効果には、以下のようなものがあります。
・抗酸化作用
抗酸化作用は、活性酸素を中和する作用のことです。
活性酸素は強い酸化力をもつ物質で、日々の呼吸によって体内で発生します。活性酸素が体内で過剰になると、肌の老化や生活習慣病の原因になります。
カンゾウに含まれるイソフラボンには強い抗酸化作用があります。カンゾウは、イソフラボンの働きによって体内の活性酸素を減少させ、健康と美容に役立ちます。
関連記事:イソフラボンの抗酸化作用
・肝機能の向上
肝臓には、毒素を分解する作用があります。
カンゾウの主成分であるグリチルリチンは、解毒を補助するグルクロン酸と呼ばれる物質に体内で変換されます。カンゾウは、グリチルリチンの働きによって肝臓の解毒機能を補助し、肝機能を向上させます。
・炎症の抑制
カンゾウに含まれるグリチルリチンやイソフラボンには、炎症を抑制する作用があります。
カンゾウには抗炎症作用があり、鎮痛・咳止め・アレルギー症状の抑制に役立ちます。
・ダイエット効果
カンゾウエキスの摂取によって体脂肪が減少したという複数の実験報告があります。
そのため、カンゾウを配合したダイエット用のサプリメントも販売されています。
関連記事:イソフラボンのダイエット効果
カンゾウはマメ科の薬用植物
カンゾウはマメ科に属する多年草で、地中海地方やロシア南部、中央アジア、北アメリカ、中国北部などに自生しています。
高さは40-70cm程度ですが、地下の根茎が1-2mほどあります。カンゾウの根茎を乾燥させたものは、古くから薬として利用されてきました。
薬用植物としての利用は古く、紀元前に編纂されたギリシャの医学書にもカンゾウについての記載があります。カンゾウは、現在も漢方薬やサプリメント、薬用茶などに広く利用されています。
・強い甘味がある
カンゾウには、その名の通り強い甘味があります。カンゾウの甘味成分にはグリチルリチン・ブドウ糖・ショ糖があり、粉末が甘味料として利用されます。
スペインカンゾウは英語でリコリスといい、リコリス菓子というグミのようなお菓子の味付けに利用されています。また、ソフトドリンクやリキュールの原料としても一般的です。
日本では、醤油・味噌・漬物などの甘味料としても使用されています。
・主要な漢方薬の材料
カンゾウは漢方薬の約7割に使われており、最も一般的な漢方薬の材料です。
漢方薬の効能としては鎮痛・解毒・咳止めなどがあります。
また、ほかの生薬同士のバランスを調整する作用があるといわれており、多くの漢方薬に使用されています。
・サプリメントやお茶で摂取できる
カンゾウを配合したサプリメントが販売されています。カンゾウには体脂肪を減少させる効果があり、ダイエット用のサプリメントにも配合されています。
また、カンゾウは薬用茶の材料として古くから利用されています。甘草茶は、リラックス効果や肝臓の健康増進効果、胃炎の予防効果があるお茶として親しまれています。
過剰摂取には注意が必要
健康に役立つ多くの効果があるカンゾウですが、過剰摂取には注意が必要です。
・過剰摂取で健康被害が起こる場合がある
カンゾウの主成分であるグリチルリチンには、ホルモンのコルチゾールを代謝する酵素の働きを阻害する作用があります。そのため、カンゾウを多く摂りすぎるとコルチゾールが過剰になり、むくみ・高血圧・倦怠感・手足のしびれなどの原因になります。
・製品に記載されている摂取目安量を守る
カンゾウが配合されているサプリメントを利用する場合は、製品に記載されている摂取目安量をしっかりと守ることが大切です。
また、高血圧の人や妊婦の摂取は避けるべきとされており、子供の使用も推奨されていません。
カンゾウが含まれている製品を使用する際には、製品の注意書きをよく読んで、必ずそれに従うようにしましょう。