イソフラボンによるホルモンバランスの乱れ
イソフラボンは健康と美容に効果的な成分として人気を集めています。しかし、イソフラボンには女性ホルモンに似た生理作用があり、過剰に摂取するとホルモンバランスの乱れを引き起こす可能性があります。
通常の食事で過剰摂取になる恐れはありませんが、イソフラボン配合のサプリメントなどを利用する場合は、過剰摂取を避けるために製品に記載されている摂取量を守ることが大切です。
イソフラボンの過剰摂取でホルモンバランスが乱れることがある
イソフラボンを過剰に摂取すると、ホルモンバランスが乱れる恐れがあります。
イソフラボンにはエストロゲン様作用がある
女性ホルモンのひとつにエストロゲンがあります。エストロゲンには女性らしい身体を形成する働きがあるほか、健康と美容に役立つ多くの作用があります。
イソフラボンの分子構造はエストロゲンとよく似ており、体内でエストロゲンと似た生理作用を発揮します。その作用は「エストロゲン様作用」と呼ばれます。
イソフラボンのエストロゲン様作用は身体の健康と美容に効果的ですが、過剰に摂取するとエストロゲンの作用が過度に強くなり、ホルモンバランスが乱れる場合があります。
過剰摂取によるホルモンバランスの乱れが報告されている
イソフラボンの過剰摂取によってホルモンバランスの乱れが発生した事例が報告されています。
・過剰摂取によって月経周期が乱れる場合がある
閉経前の女性に、通常の食事に加えて1日あたり57.3mgのイソフラボンを摂取させたところ、血中エストロゲン濃度が低下し、月経周期の延長傾向がみられたとする研究報告があります。また、1日あたり147.0mgを摂取させたグループでは、ホルモンバランスの乱れがさらに強まったことが報告されています。
このほかにも、イソフラボンの過剰摂取によってホルモン濃度や月経周期に異常が生じたケースが多数報告されています。
・過剰摂取による健康被害の事例報告もある
イソフラボンの過剰摂取によって重大な健康被害が起こった事例も報告されています。
日本の64歳の女性が、イソフラボンを豊富に含むサプリメントや大豆抽出タンパク製品を数年にわたって大量に摂取したところ、乳房の肥大・不正出血・子宮筋腫・子宮内膜増殖症などが起こったこという事例報告があります。
また、58歳のイタリア人男性がイソフラボン含有薬を1年間摂取したところ、乳房のふくらみが生じ、乳がんが発症したことが報告されています。
以上のように、イソフラボンの過剰摂取は、ホルモンバランスの乱れを引き起こして身体に悪影響を及ぼす場合があります。
イソフラボンのサプリメントなどを使用する際には、摂取量に十分に注意することが大切です。
通常の食事からの摂取は問題ない
イソフラボンの摂りすぎに注意する必要がありますが、通常の食事によってイソフラボンの過剰摂取になることはほとんどなく、過度に心配する必要はありません。
・通常でイソフラボンの過剰摂取になる可能性は低い
大豆イソフラボンの1日の摂取目安量の上限は、70-75mgとされています。
この値は平均値であり、短期間この値を上回るイソフラボンを摂取しても、健康に悪影響が及ぶわけではありません。
国民栄養調査によれば、日本人の半数は1日にイソフラボンを18mg未満しか摂取していません。別の調査でも、多くの日本人が12-13mg程度しかイソフラボンを日常的に摂取していないことが報告されています。
通常の食事によってイソフラボンを過剰摂取することは考えにくく、サプリメントなどを利用していない場合は、イソフラボンによるホルモンバランスの乱れを心配する必要はありません。
イソフラボンサプリは摂取目安量を守ることが大切
イソフラボンを配合した特定保健用食品(トクホ)やサプリメントを利用する際には、過剰摂取にならないよう摂取量に注意する必要があります。
通常の食事に上乗せして、特定保健用食品などでイソフラボンを補う場合の1日の摂取目安量の上限は、30mgとされています。この数値は、食品のリスク評価を行う食品安全委員会によって定められた数値です。
市販されている特定保健用食品やサプリメントには、この数値に基づいた摂取目安量が記載されています。そうした製品を利用する場合は、記載されている摂取量を守り、イソフラボンの過剰摂取にならないよう注意することが大切です。
イソフラボンを過剰摂取するとホルモンバランスが乱れる恐れがありますが、適切な摂取量であれば問題ありません。
健康への悪影響を防いでイソフラボンの高い健康効果と美容効果を得るために、サプリメントを利用する際は、摂取目安量をしっかりと守ることが大切です。
