子供のイソフラボン摂取に注意
15歳未満の子供は、イソフラボンの摂取に注意が必要です。通常の食事からの摂取は問題ありませんが、サプリメントなどを利用してイソフラボンを摂取することは推奨されていません。これは、イソフラボンには女性ホルモンに似た生理作用があり、子供の発育に影響を及ぼす可能性があると考えられているためです。
15歳未満の子供はイソフラボンサプリの利用を控える
イソフラボンは健康と美容にとても効果的な成分として知られており、イソフラボンを配合したさまざまな商品が特定保健用食品(トクホ)として国の機関にも認可されています。
しかし、15歳未満の子供は、そうしたイソフラボンを配合した特定保健用食品やサプリメントの摂取を控えるべきとされています。
食品安全委員会が注意喚起している
食品安全委員会は、内閣府に設置された食品のリスク評価を行う機関です。
食品安全委員会は2006年5月に「大豆イソフラボンを含む特定保険用食品の安全性評価の基本的な考え方」という文書を公表しています。
この文書では15歳未満の子供のイソフラボン摂取に関して、「乳幼児及び小児については、その生殖機能が未発達であることを考慮すると、特定保健用食品として日常的な食生活に上乗せして摂取することは、推奨できない」と記載されています。
イソフラボンにはエストロゲン様作用がある
子供のイソフラボン摂取に関して注意喚起が行われているのは、イソフラボンに女性ホルモンと似た生理作用があるためです。
イソフラボンの分子構造は、女性ホルモンのエストロゲンと非常によく似ています。そのため、イソフラボンは体内でエストロゲンと同じような働きをします。その作用は「エストロゲン様作用」と呼ばれています。
エストロゲン様作用が子供の発育に影響する恐れがある
女性ホルモンであるエストロゲンには、女性らしい身体を形成する作用があります。そうしたエストロゲンと似た働きのあるイソフラボンを未発達な子供が大量に摂取すると、発育に悪影響が及ぶ可能性があります。
・動物実験で発育への影響が確認されている
イソフラボンを子供に投与する実験は倫理上の問題から行うことができず、十分なデータがありません。そのため、食品安全委員会がリスク評価を行った際には、動物実験のデータも参照されています。
イソフラボンを未成熟な個体に与える動物実験は、マウスやサルを対象として多数行われています。そうした動物実験において、イソフラボンの投与によって生殖器の肥大がみられたことや、ホルモンの分泌量に変化が起こったことが報告されています。
・子供の発育に影響した事例が報告されている
イソフラボンの摂取によって、人間の子供の発育に悪影響が及んだケースも報告されています。
日本人の4歳女児が、大豆イソフラボンを含むプロテイン飲料を3週間毎日摂取したところ、乳房腫大と膣分泌物増加が認められたとする事例報告があります。
また、プエルトリコで行われた調査において、イソフラボンを豊富に含む大豆調整乳の摂取が幼児の早熟な乳房発育に影響していることが報告されています。
こうした事例報告に基づいて、食品安全委員会は子供に対するイソフラボンのリスク評価を行っています。
15歳未満の子供がサプリメントなどからイソフラボンを摂取することは、発育に悪影響が及ぶ可能性があるため推奨されていません。
通常の食事からの摂取は問題ない
子供のイソフラボン摂取について注意喚起が行われていますが、控えるべきとされているのは、あくまで特定保健用食品やサプリメントの利用です。
食品安全委員会は「食事に上乗せしての摂取」が推奨できないとしており、通常の食事からのイソフラボンの摂取は問題とされていません。
・通常の食事からのイソフラボン摂取は安全性が確認されている
イソフラボンは大豆などのマメ科の植物に含まれる成分であり、豆腐・味噌・納豆などに豊富に含まれています。大豆関連食品は日本をはじめとした東アジア諸国で一般的であり、子供を含めて日常的に食されています。
大豆関連食品の摂取による子供の健康悪化や発育異常についてはアレルギー以外の報告はなく、高い安全性が確認されています。
・大豆の栄養素は子供の成長に役立つ
大豆にはタンパク質をはじめ、脂質・糖質・ビタミン・ミネラルなどの、子供の成長に役立つ豊富な栄養素が含まれています。
イソフラボンの摂取を気にするあまり、大豆食品を控えて栄養バランスを乱してしまっては、かえって子供の成長に悪影響が及びます。
15歳未満の子供でも、通常の食事からのイソフラボン摂取に関して心配する必要はありません。
ただし、イソフラボン配合の特定保健用食品やサプリメントなどを利用するのは控えましょう。
