閉経前はイソフラボンの過剰摂取に特に注意
閉経前の女性は、イソフラボンの過剰摂取に特に注意が必要です。
イソフラボンは、女性の健康と美容に効果的な成分として人気を集めています。しかし、過剰に摂取すると身体に悪影響が及ぶ場合があり、月経周期の異常がみられたケースも報告されています。
また、イソフラボンが女性ホルモンの働きを妨げる場合があり、女性ホルモンの分泌量が多い閉経前に摂取すると、女性ホルモンの美容効果が低下することもあります。
イソフラボンにはエストロゲンに似た作用がある
イソフラボンは、女性の健康と美容に効果的な成分として知られています。これは、イソフラボンに女性ホルモンのエストロゲンの働きを補助する作用があるためです。
イソフラボンの分子構造は、エストロゲンとよく似ています。そのため、イソフラボンにはエストロゲンと似た生理作用があり、体内でエストロゲンの働きを補助します。その作用は「エストロゲン様作用」と呼ばれます。
イソフラボンのエストロゲン様作用は身体の健康と美容にとても効果的です。しかし、過剰に摂取すると、エストロゲンの作用が必要以上に強まる場合や、「エストロゲンが十分に分泌されている」と身体が勘違いしてエストロゲンの分泌量が低下する場合があります。
過剰摂取で月経周期に影響がでたケースが報告されている
閉経前の女性がイソフラボンを大量に摂取した結果、月経周期に異常が生じたケースが報告されています。
閉経前の女性は、イソフラボンの過剰摂取に特に注意が必要です。
閉経前の女性に、日常の食事に加えて1日あたり57.3mgのイソフラボンを毎日摂取させたところ、血中エストロゲン濃度の低下傾向と月経周期の延長傾向がみられたとする研究報告があります。また、1日あたりの摂取量が147.0mgの場合では、血中エストロゲン濃度の低下と月経周期の延長傾向がさらに強まったことが報告されています。
イソフラボンがエストロゲンの作用を低下させる場合がある
イソフラボンにはエストロゲンの働きを補助する作用がありますが、逆にエストロゲンの働きを弱める場合もあります。
・イソフラボンには抗エストロゲン作用がある
エストロゲンは、卵巣などから分泌された後、細胞にあるレセプター(受け皿)と結合することで効果を発揮します。エストロゲンが不足しているときには、イソフラボンが空いているレセプターと結合してエストロゲンの作用を補助します。逆にエストロゲンが多い場合は、イソフラボンが先にレセプターと結合することで、エストロゲンとレセプターの結合が阻害されます。
イソフラボンにはエストロゲン様作用がありますが、その作用の強さはエストロゲンの1000分の1以下です。そのため、エストロゲンが豊富に分泌されているときにイソフラボンを摂取すると、エストロゲンの働きが弱まる場合があります。
こうしたイソフラボンの作用は「抗エストロゲン作用」と呼ばれます。
・抗エストロゲン作用で美容効果が弱まる場合がある
エストロゲンには、肌を若々しくする効果や美髪効果などの高い美容効果があります。
エストロゲンの分泌量が低下した閉経後の女性がイソフラボンを摂取すると、イソフラボンがエストロゲンの美容効果を補います。
しかし、エストロゲンの分泌が活発な閉経前の女性がイソフラボンを大量に摂取すると、抗エストロゲン作用によってエストロゲンの美容効果が弱まってしまう場合があります。
イソフラボンは美容に効果的な成分として知られていますが、閉経前の女性が大量に摂取すると逆効果になる場合があります。
摂取目安量を守れば問題ない
閉経前の女性に対するイソフラボンの悪影響をご紹介しましたが、問題になるのはあくまで過剰摂取した場合です。1日の摂取目安量を守っていれば、身体への悪影響を心配する必要はありません。
・通常の食事では過剰摂取の心配はほとんどない
食品安全委員会が定めた大豆イソフラボンの1日の摂取目安量の上限値は70-75mgです。
また、食事に上乗せして特定保健用食品で大豆イソフラボンを補う場合の上限値は、1日あたり30mgとされています。
女子学生のイソフラボン摂取量を調査した研究では、1日12-13mg程度しか摂取されていないとする報告もあります。通常の食事でこうした上限値を上回る可能性はほとんどないため、通常は過剰摂取を心配する必要はありません。
・サプリメントを利用する場合は注意が必要
ただし、イソフラボン配合のサプリメントを利用する場合は、成分が濃縮されているため過剰摂取に注意が必要です。
特に閉経前にイソフラボン配合のサプリメントを利用する場合は、過剰摂取による悪影響を防ぐために、製品に記載されている目安量をしっかりと守ることが大切です。