日本に多く輸入されているブラジル産大豆
イソフラボンは大豆に多く含まれています。日本で消費されている大豆のほとんどは輸入品であり、ブラジル産の大豆も日本に多く輸入されています。
ブラジルはアメリカとともに世界の主要な大豆生産国であり、その生産量の増加には日本も深く関係しています。
日本はブラジルから多くの大豆を輸入している
ブラジル産大豆は、日本に輸入される大豆の約16%を占めています。これは、輸入大豆の約70%を占めるアメリカに次いで2番目です。
・日本の大豆消費を支えるブラジル産大豆
日本では年間300万トンから400万トン程度の大豆が消費されており、そのうちの約93%が輸入品です。
ブラジル産大豆の輸入量は約50万トンです。日本国内の大豆生産量は20万トンから25万トンであり、ブラジルからの輸入量は国内生産量の倍以上です。
・ブラジル産大豆の主な用途は製油
ブラジル産大豆は、主に製油用として利用されています。大豆油は最も代表的な植物油で、サラダ油のほかマヨネーズやマーガリンなどの原料として広く用いられています。
同じ輸入大豆でも、アメリカ産やカナダ産は豆腐・納豆などの食品用としても利用されています。そうした大豆は、日本の消費者に向けて品種改良などが行われています。
ブラジル産大豆は、現在までのところ食品用大豆としての利用はあまり行われておらず、製油用としての利用が中心です。
ブラジルはアメリカに匹敵する大豆生産国
ブラジルは、世界最大の大豆生産国であるアメリカに匹敵する主要な大豆生産国です。
世界の大豆生産量は約3.2億トンで、ブラジルはそのうちの約30%を占めています。アメリカは約35%を占めていますが、ブラジルの大豆生産量は近年大きく増加しており、アメリカに迫る勢いです。
ブラジルは世界最大のコーヒー豆とサトウキビの生産国ですが、大豆の輸出金額はそれらを大きく上回ります。
なお、ブラジルは大豆の生産が盛んですが、国内で食用として消費されるのはそのうちの1割もありません。ブラジルでは、油脂やバイオ燃料、家畜の飼料などの食用以外の用途で主に大豆が消費されています。
ブラジル産大豆は遺伝子組み換え大豆が中心
ブラジルで生産されている大豆のほとんどは遺伝子組み換え大豆です。
遺伝子組み換え大豆は、農薬や害虫に対する抵抗力を高めるために、人為的に遺伝子を操作した大豆です。
ブラジルでは大豆生産が大規模に行われており、栽培に手間のかからない遺伝子組み換え大豆が好まれています。また、遺伝子組み換え大豆には収穫量が多いというメリットがあります。
ブラジルの大豆作付面積における遺伝子組み換え大豆の割合は約97%です。日本に輸入されているブラジル産大豆も、多くが遺伝子組換え大豆です。
ブラジル産大豆は、日本で主に製油用として利用されています。日本では遺伝子組み換え大豆を使用しても、製品に遺伝子やタンパク質が残っていなければ、遺伝子組み換え大豆を使用していることを表示する義務はありません。
現在、日本には多くの遺伝子組み換え大豆が輸入されています。遺伝子組み換え大豆の摂取に抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、遺伝子組み換え大豆を使った製品は日本の食卓に広く浸透しています。
ブラジルの大豆生産量増加には日本も関与している
現在は世界の主要な大豆生産国であるブラジルですが、以前はあまり生産されていませんでした。現在の9,000万トン程度の生産量に対して、1970年の生産量は約240万トンのみでした。
ブラジルは近年急激に大豆生産量を伸ばしており、その成長には日本も関与しています。
・日本政府がブラジルに大豆生産増加を働きかけた
アメリカは第二次世界大戦後に世界最大の大豆生産国になり、日本も1970年代は9割以上の大豆をアメリカから輸入していました。ところが、アメリカが1973年に大豆の輸出規制を実施したため、日本は大豆を輸出してくれる国を探す必要に迫られました。
当時の田中角栄政権は、ブラジルで放棄されていた内陸部の「セラード」と呼ばれる熱帯サバンナ地域に注目し、その地域での大豆栽培をブラジルに働きかけました。
・日本との共同事業で大豆生産量が急増
セラードは、日本の国土の5倍以上の広さがありながら、それまでは不毛の大地として利用されていませんでした。
日本とブラジルはセラードの開発に関する共同事業を1979年に開始し、日本は事業計画・資金・技術の面で協力しました。共同事業によって700戸以上の農家が入植し、その結果ブラジルの大豆生産量は飛躍的に増加しました。
現在では、セラード産の大豆はブラジルの総生産量の6割以上を占めています。
ブラジルでの大豆の増産は、世界の食糧需給に大きく貢献しています。
世界の食糧需給を支えるブラジルの大豆生産には、日本が深く関係しています。