イソフラボンの1日の摂取目安量はどれくらい?
イソフラボンは身体の健康と美容にとても効果的な成分です。しかし、イソフラボンの過剰摂取によって健康被害が起こった事例が少数報告されています。
そのため、食品安全委員会は、イソフラボンの安全な摂取目安量の上限値を1日あたり70-75mgと定めています。この数値はとても大きなものであり、通常の食事でイソフラボンの過剰摂取を心配する必要はありません。
食品安全委員会による基準は1日あたり70-75mg
食品安全委員会は、食品のリスク評価を行う内閣府の機関です。
食品安全委員会は、イソフラボン配合の特定保健用食品(トクホ)の申請に際して安全性に関する審議を行い、イソフラボンの摂取目安量を2006年に発表しています。
・イソフラボンの摂取目安量
食品安全委員会が定めるイソフラボンの安全な摂取目安量の上限値は、1日あたり70-75mgです。
また、通常の食事に上乗せして、特定保健用食品などでイソフラボンを追加摂取する場合の上限値は、1日あたり30mgと定められています。
・基準値が定められた理由
イソフラボンは健康に役立つ成分ですが、過剰摂取によって健康に悪影響が及んだ事例が報告されています。
食品でいちどに大量のイソフラボンを摂取することは困難ですが、サプリメントは成分が濃縮されており、消費者の使い方次第で多くの量を摂取できてしまいます。
そうした過剰摂取による健康被害を防ぐために、イソフラボンの安全な摂取目安量が設定され、その基準に沿った1日あたりの摂取量がサプリメントなどに表示されるようになりました。
食品安全委員会の基準の根拠
食品安全委員会は、過去の研究事例を参考にして基準値を定めています。
・1日の摂取目安量の上限値70-75mgの根拠
イタリアにおいて、閉経後の女性179人に対して1日あたり150mgのイソフラボンを5年間継続的に投与する実験が行われました。その結果、子宮内膜の異常増殖が6名(3.8%)にみられたことが報告されています。
食品安全委員会はこの150mgを参考にして、半分の75mgを上限値としています。
また、国民栄養調査によれば、国民の95%のイソフラボン摂取量は1日あたり70mg未満であり、そうした摂取量での健康被害の報告はありません。そのため、イタリアの研究を参考にした数値とあわせて、1日の安全な摂取目安量の上限値が70-75mgと定められています。
・上乗せ摂取の上限値30mgの根拠
閉経前の女性に、通常の食事に加えて1日あたり57.3mgのイソフラボンを継続して摂取させた結果、月経周期の延長傾向がみられたという日本の研究報告があります。
食品安全委員会はこの研究を参考に、およそ半分の30mgを通常の食事に上乗せして摂取する場合の上限値と定めています。
摂取目安量は長期間摂取しても安全な量
食品安全委員会の定めた摂取目安量は、かなり安全幅を大きくとったものです。摂取目安量を公表した同委員会の文書にも「上限値を超えたからといって直ちに健康被害が発生するものではない」と記載されています。
また、摂取目安量は平均値であり、その数値を超えた量を短期間摂取しても心配する必要はありません。イソフラボンの過剰摂取による健康被害は、目安量を大幅に超えた量を長期間継続的に摂取した場合に発生しています。
摂取目安量の発表に対する専門家の意見においても、摂取目安量の数値に神経質になることなく、健康のために大豆食習慣を大切にすべきという意見が大半です。
食品に含まれるイソフラボンの量
主な大豆製品に含まれるイソフラボンの量は、以下の通りです。
毎日継続してイソフラボンを摂取するための参考にしてみてください。
大豆製品 | イソフラボンの含有量 |
---|---|
煮豆(30g) | 11-13mg |
納豆1パック | 36mg |
豆乳(調整豆乳1本200g) | 41mg |
木綿豆腐(1/2丁、150g) | 42mg |
絹ごし豆腐(1/2丁、150g) | 38mg |
きな粉(大さじ1杯、6g) | 9mg |
味噌汁(1杯、味噌20g) | 6mg |
通常の食事での過剰摂取を心配する必要はない
大豆製品に含まれるイソフラボンの量をご紹介しましたが、基本的に通常の食事での過剰摂取を心配する必要はありません。
大豆製品は、日本をはじめとした東アジア諸国で一般的な食品であり、多くの人が日常的に摂取しています。大豆製品の通常摂取で健康被害が起こった事例は、アレルギー以外に報告がありません。
国民栄養調査によれば、日本人の半数はイソフラボンを1日あたり18mg未満しか摂取できていません。全体的にみれば、日本人はイソフラボンの摂取が不足している状態です。
摂取目安量の上限値は定められていますが、過度に心配する必要はありません。大豆製品を積極的に摂取して、健康と美容に役立てることをおすすめします。