抗がん剤とイソフラボンサプリの飲み合わせに注意
イソフラボンは健康に役立つ成分ですが、薬との併用には注意が必要です。特に抗がん剤とイソフラボンサプリを併用すると、抗がん剤の効果が弱まる恐れがあります。また、イソフラボンには女性ホルモンに似た生理作用があり、乳がんなどの女性ホルモンに関係した病気の治療に悪影響を及ぼす可能性があります。
がん治療中にイソフラボンサプリを摂取したい場合は、医師に相談して必ずその指示に従うようにしてください。
イソフラボンの抗酸化作用が抗がん剤に影響する可能性がある
イソフラボンには強い抗酸化作用があり、細胞の酸化を抑制して健康と美容に役立ちます。しかし、その抗酸化作用が抗がん剤の効き目に悪影響を及ぼす可能性があります。
・抗がん剤はがん細胞に酸化障害を起こすことで増殖を防ぐ
抗がん剤や放射線治療による化学療法は、がん細胞に酸化障害を引き起こすことで抗がん作用を発揮します。
そうした化学療法を行っている間に抗酸化作用のあるビタミンなどを大量に摂取すると、治療の効果が弱まってしまいます。そのため、抗がん剤の服用中はサプリメントなどで抗酸化作用のある物質を摂取するのは避けるべきとされています。
・イソフラボンには強い抗酸化作用がある
イソフラボンは、強い抗酸化作用があることで知られるポリフェノールの一種です。イソフラボンの抗酸化作用は健康と美容に効果的ですが、抗がん剤などの化学療法を行っている際に多く摂取すると、治療に悪影響を及ぼす恐れがあります。
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抗がん剤の服用中は、イソフラボンサプリの摂取を基本的に控えるべきです。摂取したい場合は、事前に医師に相談するようにしてください。
女性ホルモンに関係する乳がんなどの治療中は特に注意
イソフラボンには女性ホルモンに似た生理作用があります。そのため、乳がんや子宮がんなどの女性ホルモンが関係したがんの治療に影響を及ぼす可能性があります。
乳がんや子宮がんの治療を受けている人や、過去に発症したことのある人は、イソフラボンサプリの摂取に特に注意が必要です。
・乳がんや子宮がんはエストロゲンの影響で増殖する
乳がんや子宮がんの細胞の多くは、女性ホルモンのエストロゲンの影響によって増殖します。乳がん細胞にはエストロゲン受容体と呼ばれる受け皿があり、その受容体にエストロゲンが結びつくことで、がん細胞の増殖が促進されます。
そのため、乳がんや子宮がんの治療に際しては、エストロゲンの働きを抑制することが重要とされています。
・イソフラボンにはエストロゲン様作用がある
イソフラボンの分子構造はエストロゲンと非常によく似ており、体内でエストロゲンと同じような作用を発揮します。その作用は「エストロゲン様作用」と呼ばれます。
イソフラボンのエストロゲン様作用は本物のエストロゲンに比べると非常に弱いものですが、摂取量や体質によっては乳がんなどの治療に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、女性ホルモンが関係するがんの治療中に、成分が濃縮されたサプリメントでイソフラボンを摂取するのは、基本的に避けるべきとされています。
がん治療中のイソフラボンサプリの摂取は医師に相談
以上のように、イソフラボンサプリは、抗がん剤などの化学療法や乳がん・子宮がんなどの女性ホルモンに関係したがんの治療に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、がんの治療中は、イソフラボンサプリの摂取を自己判断してはいけません。
がん治療中のイソフラボンサプリの摂取は基本的に避けるべきであり、摂取したい場合でも必ず事前に医師に相談するようにしてください。
食事からのイソフラボン摂取は基本的に問題ない
イソフラボンは、豆腐・納豆・豆乳などの大豆製品にも多く含まれています。
がん治療中のイソフラボンサプリの摂取は推奨されていませんが、通常の食事からの摂取は基本的に問題ありません。
近年の研究では、大豆製品を多く摂取していると乳がんなどの各種がんの発症リスクが低下する傾向があることが報告されています。
また、抗エストロゲン作用があり乳がんの治療に用いられる薬にタモキシフェンがありますが、タモキシフェンを服用中に大豆製品を適度に摂取すると、乳がんの再発リスクが低下するという研究報告もあります。
大豆製品は、イソフラボンだけでなくタンパク質や食物繊維を豊富に含んでおり、がん治療中の栄養補給に適した食品です。がん治療中であっても大豆製品は通常通り摂取することが可能です。
以上のように、がん治療中の大豆製品の摂取は基本的に問題ありませんが、成分が濃縮されたイソフラボンサプリの摂取は控えるべきです。がん治療中にイソフラボンサプリを摂取したい場合は、必ず医師に相談するようにしてください。