骨粗しょう症の予防にイソフラボン
イソフラボンは、骨粗しょう症の予防にとても効果的です。
骨粗しょう症は、骨密度が低下して骨がもろく折れやすくなる症状です。骨粗しょう症による骨折が原因で、介護が必要になったり認知症が進行したりするケースが珍しくありません。健康的な生活を長く続けるためには、イソフラボンを日常的に摂取して骨を丈夫にすることが大切です。
エストロゲンの働きを補助して骨を丈夫にする
骨の形成には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関係しています。
イソフラボンにはエストロゲンの作用を補助する働きがあり、丈夫な骨の形成を促進します。
・エストロゲンは骨を丈夫にする
骨は、身体のほかの組織と同じく日々新陳代謝を繰り返しています。女性ホルモンのエストロゲンには、新しい骨をつくる骨芽細胞の働きを活性化させるとともに、骨を破壊する破骨細胞の働きを抑制する作用があります。エストロゲンは、丈夫な骨の形成に不可欠なホルモンです。
更年期の女性は、卵巣の機能が低下してエストロゲンの分泌量が急激に減少します。骨粗しょう症の患者は更年期以降の女性に特に多く、患者全体の約8割を占めます。
・イソフラボンはエストロゲンの働きを補助する
イソフラボンの分子構造は、エストロゲンとよく似ています。イソフラボンは、体内でエストロゲンと似た働きをしてその作用を補助します。
イソフラボンは、骨を丈夫にするエストロゲンの作用を補助し、骨粗しょう症の予防に役立ちます。
抗酸化作用が骨密度の低下を抑制する
抗酸化作用とは、活性酸素を中和する作用のことです。
イソフラボンには、骨の形成に悪影響を及ぼす活性酸素を中和する作用があります。
・過剰な活性酸素は骨の形成に悪影響を及ぼす
活性酸素は、ほかの物質を酸化する力が非常に強い酸素のことで、日々の呼吸やストレスによって体内で発生します。
活性酸素は、血液中の脂質を酸化して過酸化脂質を発生させます。過酸化脂質には骨をつくる骨芽細胞の分化を抑制する作用があり、骨の形成を阻害します。
・イソフラボンは活性酸素を減少させる
イソフラボンは、活性酸素を中和する抗酸化作用があることで知られるポリフェノールの一種です。
イソフラボンは、骨の形成に悪影響を及ぼす活性酸素を中和して、骨粗しょう症を予防します。
脂肪を減少させて骨の形成を補助する
肥満は、丈夫な骨の形成を阻害します。肥満状態では、骨芽細胞のもとになる幹細胞が骨芽細胞よりも脂肪細胞に分化しやすくなります。その結果、骨の強度が低下して骨粗しょう症が引き起こされます。
イソフラボンには、脂質の代謝を促進して体脂肪を減少させるダイエット効果があります。
イソフラボンは、骨の形成を阻害する肥満の改善に役立ち、丈夫な骨の形成を補助します。
生活習慣病を予防して骨粗しょう症のリスクを低下させる
糖尿病・高血圧・動脈硬化などの生活習慣病は、骨粗しょう症の発症リスクを高めます。
これらの生活習慣病は、肝臓や腎臓に悪影響を及ぼします。肝臓や腎臓にはカルシウムの吸収率を高めるビタミンDを活性化させる働きがあり、生活習慣病によって肝機能や腎機能が低下するとカルシウムの吸収率が悪化して骨がもろくなります。
イソフラボンには血糖値を抑制する作用や血液中の脂質を減少させる作用があり、生活習慣病の予防にとても効果的です。
イソフラボンは、生活習慣病を予防して肝臓と腎臓を健康に保ち、骨を丈夫にします。
骨粗しょう症の予防効果が実験で確認されている
骨粗しょう症を予防するイソフラボンの効果は、数多くの実験で確認されています。
大豆を食べる習慣のないブラジル移民の日系人女性に対して、大豆イソフラボンを1日50mg摂取させたところ、骨粗しょう症の指標となる尿の数値が日本人女性と同レベルに改善したという実験報告があります。
また、骨粗しょう症を誘発させたラットに対してイソフラボンを投与したところ、骨密度の低下が抑制されたことが報告されています。
さらに、更年期の女性にイソフラボンを1日40mg、1年間摂取させたところ、通常は年々骨密度が低下する年齢にも関わらず、骨密度の大幅な上昇がみられたとの症例報告があります。
イソフラボンを継続して骨粗しょう症予防
以上のように、イソフラボンは骨粗しょう症の予防にとても効果的です。
ただし、こうしたイソフラボンの効果は比較的ゆっくりと作用します。骨の形成も徐々に行われるため、十分な効果を得るためには長期間継続して摂取することが大切です。
骨粗しょう症は、老後の生活の質を大きく低下させます。イソフラボンを毎日の生活に取り入れて、丈夫な骨の形成に役立ててみることをおすすめします。