イソフラボンのひとつグリシテインの特徴
イソフラボンにはいくつかの種類があり、そのうちのひとつにグリシテインがあります。グリシテインは、体内への吸収率が高い「アグリコン型」に分類されるイソフラボンです。
グリシテインは大豆に含まれていますが、含有量が少なめです。そのため、グリシテインに関する研究報告は、ほかのイソフラボンに比べて少数です。
グリシテインはアグリコン型イソフラボン
グリシテインは大豆イソフラボンの一種で、「アグリコン型」に分類されます。
・グリシテインは3種類あるアグリコン型のひとつ
イソフラボンは、糖が付属した「グリコシド型」と、グリコシド型から糖が外れた「アグリコン型」の2つに大きく分類されます。
グリシテインはアグリコン型イソフラボンのひとつで、ほかのアグリコン型イソフラボンにはダイゼインとゲニステインがあります。
・グリシテインはグリシチンの形で大豆に含まれている
グリシテインに糖が付属しているものは「グリシチン」と呼ばれます。グリシテインは、主にグリシチンの形で大豆に含まれています。
グリシチンは分子量が大きく、そのままでは体内に吸収されません。グリシチンの糖が腸内細菌によって分解されるとグリシテインになり、分子量が小さくなることで体内に吸収されるようになります。
大豆胚芽に含まれるが含有量は少なめ
グリシテインは大豆イソフラボンのひとつで、グリシチンの形で大豆に含まれています。しかし、ほかのイソフラボンに比べると含有量は少なめで、大豆全体のイソフラボンに占めるグリシテインの割合は5-10%程度です。
グリシテインは大豆胚芽に主に含まれていますが、大豆胚芽のみから抽出したイソフラボンでも含有比率は20%程度です。
そのため、大豆イソフラボンの生物学的効果を主に発揮するのはダイゼインやゲニステインといった別のイソフラボンと考えられており、グリシテインの効果に関する研究はそれらに比べて数が少なめです。
エストロゲン様作用が弱い
グリシテインには、イソフラボンの主要な効果のひとつであるエストロゲン様作用が非常に弱いという特徴があります。
・イソフラボンにはエストロゲン様作用がある
イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンと分子構造がよく似ており、体内でエストロゲンと似た生理作用を発揮します。その作用は「エストロゲン様作用」と呼ばれます。
エストロゲン様作用はイソフラボンの主要な効果のひとつであり、美肌・美髪・更年期障害の症状改善・骨粗しょう症の予防などに役立ちます。
・グリシテインはエストロゲン様作用が弱い
グリシテインはイソフラボンの一種ですが、エストロゲン様作用がほかのイソフラボンに比べて非常に弱いことが確認されています。
大豆イソフラボンが発揮するエストロゲン様作用は、主にゲニステインやダイゼインといったグリシテイン以外のイソフラボンによるものです。
アルツハイマー病の予防効果を示した研究報告がある
グリシテインの効果に関する研究は数が少ないですが、アルツハイマー病に対する効果を確認した研究報告があります。
アルツハイマー病は、アミロイドβと呼ばれる異常なタンパク質が脳に蓄積することで発症します。金沢大学の研究において、グリシテインとゲニステインにアミロイドβの蓄積を抑制する効果があることが確認されています。
このほかにも、グリシテインには抗酸化作用や抗炎症作用といったアルツハイマー病の予防に役立つ多くの効果があります。グリシテインは、アルツハイマー病の予防にとても効果的です。
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エクオールに変換される可能性が指摘されている
エクオールは、イソフラボンの一種ダイゼインが特定の腸内細菌によって代謝された物質です。エクオールには強いエストロゲン様作用があり、高い美容効果と健康効果がある成分として注目されています。
ラットの排泄物からエクオールをつくりだす菌を分離し、その菌の働きを調べる実験を行ったところ、その菌はダイゼインだけでなく、グリシテインの腸内代謝物もエクオールに変換したことが報告されています。
この研究により、グリシテインが高い効果をもつエクオールの材料になる可能性が示唆されています。
以上のように、ほかのイソフラボンに比べてグリシテインに関する研究は少ないですが、有益な効果を示す複数の研究報告があります。
グリシテインについては、今後さらなる研究が行われ、効果がより詳しく解明されることが期待されています。